ゆっくり長く
由布暮らし
早いもので、2024年8月で地域おこし協力隊も3年目に突入しました。
今日は由布に移住したいち個人として、由布暮らしを振り返ってみたいと思います。
なぜここに来たのか?と考えると明確な答えはなく、温泉が好きで、寅さんが好きで、なんとなく気づいたら、ご縁に導かれここに居たという感じです。
最初の1年は由布院に住みました。
アパートの窓からは雄大な由布岳がみえて、四季折々の景色の中を歩きジモ泉(※地元の温泉の略)にも通って美味しい食べ物を満喫し、都会での暮らしとは違う豊かさを感じた1年目。
それからご縁やタイミングが繋がって、同じ湯布院町でありながら“カリスマ観光地由布院”とはまた違った魅力を持つ私の担当地域である秘境・湯平温泉に移りました。
自然豊かでノスタルジックな湯平温泉は、秘湯マニアにはたまらない静かな山間の温泉街です。野生動物にはほぼ毎日遭遇、交通渋滞は無縁でコンビニまでは車で15分、公共の交通機関での移動も不便なのでお菓子を買いに行くのも飲みに繰り出すことも圧倒的になくなりました。探求心をそそる路や石畳の坂を歩くおかげでだいぶスリムになりましたし(笑)。虫との共存は未だ課題ですが、湯平の春夏秋冬を経験し、花合野川のせせらぎも暮らしの一部になってきました。
まちの人はみんな「こんな何もないところによく来るねえ」と不思議そうにいいます。不便さを感じないといえばうそになりますが、ここに住む方々が当たり前すぎて気づいていない価値を沢山知っています。朝、鳥の鳴き声で目が覚めることや、季節ごとに咲く花と棚田の美しさ、きれいな水と空気が豊富にあること、山菜や木の実や野草など自然に育つ食物がすぐそこにあること。ありのままの自然と歴史の片鱗をみる面白さは、何もないからこその贅沢な時間と空間で湯平温泉ならではです。
自分はなぜ寅さんが好きなのかなと考えたことがあります。
気の向くまま自由に旅をしてその土地々の風景と人情に触れ、たまに騒動を巻き起こす寅さんだけど、変わらずいつも「お帰り」と迎えてくれる場所があるということ。そこに魅せられたのかなと思います。そんなどこか懐かしい温かい風景が湯平温泉にも残っています。寅さん本人も、「どこか葛飾柴又に似ている」との言葉を残していて嬉しくなりました。
その葛飾柴又で開催される『日本の原風景を守り、後世に伝える』ことをテーマに全国のロケ地が集まる「寅さんサミット」に湯平温泉で初出場することになりました。
フーテンの私がいま由布暮らしを続けられているのも、やはり人との出会いに恵まれていたからというのが最大の理由だと思います。
協力隊の仲間や、そこから繋がった素敵な生き方をしている方々、地域の方々、市の職員さんたち、大分に帰ってきて再会した友人…いろんな出会いが今に繋がって生きているなあと感じます。
いま私たちは湯平温泉の玄関、旧金子商店さんの後を「湯平あんこーる商店」として引き継がせていただき拠点づくりに奮闘している日々です。改修を手伝ってくれたり、助言やアドバイスをいただいたり、応援に来てくれたりで、まちの皆さんからのご協力に助けられて暮らしています。この場所を私たちだからできることで地域の人も湯平を訪れる人ももちろん自分たちも楽しめる場所にして恩返しができたらと思います。
湯平温泉は9月から共同温泉銀の湯が再開しました。
これからはもっと自然の中で遊び→温泉に浸かって→おいしいものを食べ、おいしいお酒を堪能する…という個人的に大好きなアクティビティを楽しみたいと思います。
2022年にUターンし8月から湯平地域おこし協力隊に着任。湯布院庁舎地域振興課所属。2023年9月より湯平温泉に移住し「食と笑顔とつながりを」をモットーにした拠点づくりの開店準備中。
温泉、自然、海の幸山の幸を食べること、映画「男はつらいよ」の寅さんが好き。
■Instagram:https://www.instagram.com/yunohiranp/