インタビュー 由布市で暮らす人の声

2024年8月2日

「挾間が熱い」と聞いて、子育て支援の厚い挾間町に移住を決意~流れるままにたどり着いた運命の場所で、夢の美容室を開店~

interview with 蒲原 恭平さん・ 亜由美さん
移住前の住まい神奈川県(佐賀県、大分県佐伯市出身)
移住後の住まい由布市挾間町(同市庄内町に美容室を開業)
移住時期2023年3月
お名前蒲原恭平(かもはらきょうへい)さん・37歳   亜由美(あゆみ)さん・36歳
職業美容師

〇由布市への移住のきっかけを教えてください

亜由美さん:

 もともと二人とも九州出身だったので、いずれ九州に帰ろうと思っていました。小学校2年生と年長さんの子どもがいるので、自分たちの親にももう少し会わせたいと思っていました。上の子が小学生になるタイミングで合わせて九州に戻ろうと思いました。

 その頃ちょうど、友人から「由布市挾間町が熱いよ」と聞き、由布市で探し始めました。由布市役所や大分県の移住相談窓口にも連絡し、子育て施策にも力を入れていることが分かり、それも、決め手になりました。由布市は中学生までの児童手当のほかに、高校生まで医療費が無料で、他の市ではあまりない対応だと思います。また、市内で子どもを産む場合には、給付金やおむつクーポンなどももらえると聞きました。

 そして、挾間町にアパートを借りました。移住したての時には仕事をしていなかったのですが、無職でも入れる学童にすぐに決まって、それも運命的でした。また下の子のこども園も、すぐに入れました。挾間町のアパートは、線路が近いことだけが心配だったのですが、汽車は1時間に一本くらいで2両だけなので全く気になりませんでした。(※由布市を通る久大本線は、電車ではなくディーゼルカーです。)

恭平さん:

 子どもが小学校に入ってから転校するのは子どもがかわいそうなので、そのタイミングで動こうと思っていました。挾間小学校は、子どもが多く、遠くから転校して来る子どもも馴染みやすいと思いました。子ども達のコミュニティができてしまっている小学校よりも、子どもが仲間に入りやすいと思いました。今、子どもも気に入って通っています。

 また、神奈川県にいたころは、朝10時に家を出て、夜10時~11時くらいに帰宅していたので、働き方を変えたいと思っていました。朝、子どもと会ったら、「また明日」というような生活で、子どもと過ごす時間がなかったので、それを変えたいと思いました。

〇美容室も由布市に開業されたきっかけについて教えてください

亜由美さん:

 もともと美容室も開業したいと思っていたので、挾間町に住み始めてから、美容室のためのテナントを探しました。でも、挾間町では見つからず、隣町の庄内町(由布市)で、良いテナントを見つけました。ここの大家さんとお願いしようとしていた工務店の方が遠い親戚だとわかり、リフォームも融通を効かせてもらうことができたので、縁があると感じました。

 自宅も美容室のテナントも、流されるままに決めましたが、”すごくいい場所に収まったな”と思っています。すごく居心地がよく、運命的でした。美容室を開いた庄内町で一番よかったのは、優しい人が多いことです。皆さんが私たちのことを気にかけてくれています。お客さんも、1回来たら、また来てくれる方が多いです。挾間町や湯布院町、隣の竹田市など、車で30分程度の距離のお客さんも来てくれています。

恭平さん:

 当初は美容系ネットサイトに掲載される地域でテナントを探していました。由布市はそういったサイトの地域検索で表示されないので、候補地ではなかったのですが、蓋(ふた)を開けたらここにいました。大分市にもテナント物件はあったのですが、“由布市に越したので、由布市でやりたいな”、と思いました。今の場所は、当初は集客に不安もあったのですが、“やるって決めたらやるしかない”と思って始めました。開店前に大分市の美容院で少し働いた時には、いろいろな美容室を転々とするお客さんが多い印象でしたが、今の場所では、継続して来てくれるお客さんが多く、結果的によかったと思っています。

 開業資金も、日本政策金融公庫で、スムーズに借りることができました。友人に書き方を聞いてから書類を整えたのがよかったかもしれません。面接なども難しいのかと思いましたが、一緒に考えてくれる雰囲気で、安心しました。地元の金融機関などもよいと聞いたので、今後また必要であれば相談したいと思っています。また、由布市からの移住応援給付金もとても助かりました。

今の日常的な一日について教えてください

亜由美さん:

 朝は6時に起きて、子どもを幼稚園に送り、お店に向かいます。そして夕方5時にお店を閉めて、子どもを迎えに行って、子どもと外で遊んで、家族4人でご飯を食べて、お風呂に入ります。時間がゆったり流れている感じです。家族の時間が増えたのがとてもいいです。夕方2人で子どもを見られるので、とても楽になりました。

 また、関東よりも日が長く、夕方が長いのが好きです。夏は7時半くらいまで明るいですし、冬も5時はまだ明るいです。そして、夜は死ぬほど暗くて、星が見えます。自宅のある挾間町でも自然が多く、ほたるも見ることができます。

恭平さん:

 神奈川県にいるときには、朝遅くて夜遅く、職業的にお昼も食べられないことが多かったのですが、今は、朝ちゃんと起きるし、お昼も近くで買ってきたりして、ゆっくり食べられるようになりました。

 また、今は、予約がなければ早く閉められるときもあり、夕方も長いので、子どもと過ごす時間が取れるようになりました。上の子が陸上をしているのですが、家の近くに陸上用の立派なトラックがあり、放課後一緒に練習に付き合っています。また、夜も早くなりました。子どもが寝る9時頃に一緒に寝てしまうこともあります。

〇地域の人とどんな交流をされているか教えてください。

亜由美さん:

 大家さんが、コーヒーを飲みに寄ってくれます。また、地域のつながりが強いので、一度来たお客さんは私たちのお店を家族や姪っ子、甥っ子などを紹介してくれたりします。お客さんから、地域のお祭りのことなどの情報をいろいろと教えてもらっています。田舎ではいい意味でも悪い意味でも情報が一瞬でつながるので、誰かの話を他人にしないよう注意しています。

恭平さん:

 美容系ネットサイトでは飛び込み予約が多いのですが、ここでは、そういう予約が少ない反面、一度来てくれたお客さんがまた来てくれることが多いです。応援してくれていると感じます。

 また、自宅のある挾間町では、管理会社から、賃貸の居住者には自治会に入りたいかどうかのアンケートが実施されていました。挾間町では地域の行事もあまりなく、賃貸居住者は町内会の行事にも参加しない方向になったようです。子ども会もなくなったようで、地域によって状況は違うようです。

〇移住後に心境の変化はありましたか?どんな変化ですか?

亜由美さん:

 以前は、住んでいる地域に貢献したいという気持ちはなかったのですが、今は、“自分がこの町にいる”という意識をもつようになりました。悪いうわさもいいうわさもすぐに広まるので、責任を持って生きている感じです。1日1組来てくれたお客さんが大事になってきます。

 開業準備段階の周囲の反応は、知り合いも親戚もいないし、失敗するだろうという感じだったのですが、開業後にそう言った方々がうちにきて、よさそうな店だと言ってくれました。気にかけてくださる人が多いので、よそ者といわれるのではなく、いいように言ってもらえるよう、この土地に馴染んで、一緒に楽しくやれるようにしたいと思っています。

恭平さん:

 あまり変わっていないですが、仕事のやり方は変わりました。やりがいが違います。一日一日、来てくれるお客さんがとても大事になっているので、それは神奈川県ではなかった感覚です。劇的ビフォーアフターのように髪型を大きく変えるというよりも、気軽に、メンテナンスに来続けてもらえるようなお店でありたいと思っています。おしゃれして来なくてもいいお店でありたいです。

 また、近くに新しいお店が開店すると、頑張ってほしいと思います。繁盛すれば寄ってもらえる機会もできますし、こちらも地域のお店に影響を与えるので、地域に責任をもって、一緒に盛り上げていきたいと思っています。

〇移住後に、こんなはずじゃなかったと思ったり、驚いたり困ったり心配するようなことはありましたか?

亜由美さん:

 神奈川県では車を持ってなく、完全なペーパードライバーだったので、ここでは運転が大変です。道が狭くて、この前も離合(狭い道で車がすれ違うこと)の際にぶつけてしまいました。でも、ある程度乗れれば世界が広がります。温泉に行くのも、車なら見られることもないので、化粧せずに帰ることができるのが楽です。

恭平さん:

 店が閉まるのが早いことでしょうか。挾間町のセブンイレブンが24時間営業ではなく、11時までなのは驚きました。 

 また、こちらに来てから、道ですれ違った子どもの兄弟が活発にじゃれあっているのをみて、驚きました。神奈川県では、子ども同士でも距離がある感じがしていたので、田舎は子どもが強いなと思いました。

〇移住後の生活を一言でいうと?

亜由美さん:

 楽しい、でしょうか。ストレスが少なく、のびのびとしていられます。神奈川県にいたときと比べて、人の目を気にしなくていい感じです。神奈川県では、特に電車に乗る際に、子どもがうるさくしないように気にしていました。

 子どもに対しても、地域の人がおおらかな気がします。神奈川県ではトイレに行くのにもついていっていました。治安の差でしょうか。地域の人が子どもをかわいがってくれて、一緒に育ててくれている感じがします。気を使いすぎず気軽に接してくれている感じです。

 庄内町に来た時に、自然が豊かですべてがキラキラしてみえました。私たちの美容室の近くにある龍昇(りゅうしょう)の滝に行ったり、ドライブしたり、散歩していても景色が開けて楽しいです。温泉もいいなと思います。虫も出ますが、かわいいです。空気もいいです。

恭平さん:

 楽しい、でしょうか。そのために働き方を変えたのですが、子どもとの時間が増えました。土日は働いていますが、夕方会えるだけでもうれしいです。

〇移住を検討している人に体験してほしい一日はどんな一日ですか?

亜由美さん:

 ドライブしてほしいです。私たちのお店のすぐ近くにある龍昇(りゅうしょう)の滝や温泉など、見所がたくさんあります。

恭平さん:

私たちは事前に来ることなく移住してきましたが、 実際に来てみると雰囲気が違うと思います。子どもがいる方は、公園を見てみるといいと思います。市に移住相談した際に、公園が少ないと聞いたのですが、数は少なくとも、カントリーパークなど、大きい公園があります。サッカーや野球のためのグラウンドも併設しています。

 


蒲原さんの美容室の詳細については、以下をご覧ください。

https://beauty.hotpepper.jp/slnH000658702/https://www.instagram.com/ojigi_hair/

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